専門医のコラム

大腸がんとは

専門医が大腸がんのしくみと症状、予防についてお話します。
早期検査と早い発見が重要です。

大腸がんとは?
大腸がんとは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸がんはどのように進むのですか?
大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり、腹膜播種を起こします。また、大腸の壁の中を流れるリンパ液に乗ってリンパ節転移をしたり、血液の流れに乗って肝臓、肺など別の臓器に遠隔転移したりします。大腸がんの転移が、肺や肝臓の腫瘤として先に発見されることもあります。
大腸がんの自覚症状は?
早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。代表的な症状として、便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどがあります。がんが進行すると、慢性的に出血することによる貧血の症状(めまいなど)があらわれたり、腸が狭くなることによる便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、おなかが張るなどの症状が起こったりすることがあります。さらに進行すると腸閉塞となり、便は出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が起こります。体重が減ることもあります。
最も頻度が高い、便に血が混じる、血が付着するなどの症状は、痔などの良性の病気でも起こることがあるため放置してしまいがちですが、がんであった場合、そのままにしておくとがんが進行してしまいます。できるだけ早くがんを発見するため、このような症状がある場合は、早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診するようにしましょう。

大腸がんのリスクを減らす方法を教えてください
●禁煙する
●アルコールの摂取量を減らす
●肉類の食べ過ぎに注意し、野菜や食物繊維を積極的に食べる
●腸内環境を整えて便秘を防ぐ
●適度な運動で肥満を予防する
●便の色や形を毎日チェックして大腸がんのサインを見落とさない
●毎年の健康診断を欠かさず大腸がんの早期発見をする
これらの生活習慣は、大腸がんだけでなく、他の病気の予防にも役立ちます。

大腸がんの検診の種類(方法)を教えてください
大腸がん検診には、いくつかの方法があります。最も一般的な検査方法は「便潜血検査」です。これは、2日分の便を採取し、便に混じった血液を検出する検査です。がんやポリープなどの大腸疾患があると大腸内に出血することがあり、その血液を検出する検査です(通常は微量で、目には見えません)。
他にも、直腸指診、注腸造影検査、大腸内視鏡検査などがあります。大腸内視鏡を使って病理検査をするのが最も確実です。

大腸がんの検診は何歳ごろに受けるのが良いですか?
大腸がん検診は、40歳以上の健常者が対象とされています。毎年定期的に受診することが推奨されています。

大腸がんの治療にはどのようなものがあるのですか?
大腸がんの治療には内視鏡治療、外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療など様々な選択肢があります。どの治療法を選択すべきか患者さん毎に異なります。

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